タティスJr.はすでにパドレス史上最高のショートストップなのか

 球界を代表するスター選手の1人となりつつあるフェルナンド・タティスJr.(パドレス)はまだ22歳であり、メジャーで通算189試合しかプレーしていない。しかし、メジャーリーグ公式サイトでパドレスを担当するAJ・カッサベル記者は「タティスJr.はすでにパドレス史上最高のショートストップかもしれない」と言う。カッサベルはいくつかの数字を使いながらタティスJr.が球団史上最高の遊撃手であるかどうかを分析している。

 カッサベルは今後タティスJr.が成し遂げるかもしれないことを考慮して「タティスJr.は球団史上最高の遊撃手だ」と主張しているわけではない。タティスJr.がわずか189試合という出場機会のなかで残してきた数字を見て、「タティスJr.が今後全くプレーしなかったとしても、球団史上最高の遊撃手として語り継がれる可能性がある」と主張しているのだ。まずは2つのデータサイト「ベースボール・リファレンス」と「ファングラフス」が算出している総合指標WARのランキングを見てみよう。

◆パドレスの遊撃手WARランキング(ベースボール・リファレンス)
1 オジー・スミス(1978~81年) 10.9
2 ギャリー・テンプルトン(1982~91年) 10.0
3 フェルナンド・タティスJr.(2019~21年) 9.7
4 カリル・グリーン(2003~08年) 9.3

◆パドレスの遊撃手WARランキング(ファングラフス)
1 グリーン 9.0
2 タティスJr. 8.8
3 テンプルトン 8.4
4 スミス 8.1

 これらの数字を見てわかるように、パドレスには球団創設から現在に至るまで、スター遊撃手が不在だった。スミスは殿堂入りの名遊撃手だが、パドレス時代も守備は上手かったものの、あまり打てなかったため、1981年12月にトレードでカージナルスへ放出。スミスは移籍後に打撃面や走塁面でさらなる進化を遂げ、殿堂入りプレーヤーへと成長した。

 パドレスがスミスとのトレードで獲得したのがテンプルトン。彼は1984年のリーグ優勝に貢献するなど、パドレスで10年間プレーし、球団殿堂入りも果たしている選手だが、あくまでも平均的なレギュラー選手に過ぎなかった。また、グリーンは2004年に新人王投票2位となり、4年連続で15本塁打以上を放ったが、期待されたレベルの選手にはなれなかった。

 さらに、グリーンが消えたあと、タティスJr.が現れるまでの期間はパドレスの遊撃手にとって「暗黒時代」であり、2009~2018年の10年間でWAR(ファングラフス版)をわずか1.4しか稼げなかった。この期間の遊撃手としての出場試合数トップ10は以下のようになっている。

1 エバース・カブレラ 452試合
2 アレクシー・アマリスタ 189試合
3 ジェイソン・バートレット 164試合
4 フレディ・ギャルビス 160試合
5 アレクセイ・ラミレス 109試合
6 エリック・アイバー 95試合
7 クリント・バーメス 70試合
8 ジェリー・ヘアストン 61試合
9 ミゲル・テハダ 58試合
10 ルイス・サルディニャス 37試合

 この「暗黒時代」に終止符を打ったのが、A・J・プレラーGMがホワイトソックスからトレードで獲得したタティスJr.だった。メジャー3年目の今季はここまで46試合に出場して打率.277、17本塁打、39打点、13盗塁、OPS.996を記録。このまま数字を積み重ねていけば、今季中に2つのWARで球団史上遊撃手トップに躍り出ることは間違いない。今季すでに15失策(守備率.909)というディフェンス面は懸念材料だが、カッサベルは「彼の守備範囲の広さを考えれば、失策の多さはそれほど非難されるべきものではない」と主張する。

 また、パドレスがタティスJr.を中心として球団史上最高の黄金期を迎えようとしている事実も無視することはできない。カッサベルは昨年4月の時点で、「球団史上最高の遊撃手トップ5」を1位グリーン、2位スミス、3位テンプルトン、4位トニー・フェルナンデス(1991~92年)、5位タティスJr.としていたが、すでにタティスJr.が上位4人を抜いて1位に躍り出たと考えているようだ。

引用元 :mlb.jp photo – MLB Advanced Media