三冠王・ゲレーロJr.と二刀流・大谷 MVP争いは「不可能な選択」

 アメリカン・リーグのMVP争いは現時点でブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)と大谷翔平(エンゼルス)の2人がフロントランナーとなっている。ゲレーロJr.は類稀なるポテンシャルをついに開花させ、本塁打と打点の2部門でメジャートップ、打率でもリーグ2位にランクイン。一方の大谷は投打にわたる「二刀流」の大活躍で世界中の注目を集める存在となっている。メジャーリーグ公式サイトでは5人の記者が集まり、ア・リーグのMVP争いについて意見を交わした。

 アリソン・フーター記者は、今季のア・リーグMVP争いについて「史上最も面白い争いになるかもしれない。ある選手が文句なしのMVPに相応しい活躍を見せているにもかかわらず、MVPを受賞できない可能性があるからだ。それはもう1人の選手がそれを僅差で追いかけているだけでなく、投手としてもオールスター級の活躍を見せているからである」と語る。もちろん、前者はゲレーロJr.、後者は大谷のことを指している。

 マーク・フェインサンド記者は、これまでポストシーズン争いに加わらなかったチームの選手をMVP投票で支持したことはなかったという。しかし、「今季の大谷の活躍は並外れており、彼が明確なフロントランナーでない理由がわからない。(エンゼルスがポストシーズン争いから脱落した場合、)MVP投票について私がこれまで考えてきたことに反してしまうため、私はこの議論がとても嫌いだ」と語っているように、今季の大谷は記者のポリシーを覆すほどの活躍を見せている。

 また、サラ・ラングス記者は「これを今決めるのは、本当に不可能なことだと感じている。ここ数日、ずっと考えていたが、決められなかった」と語る。「(ポストシーズン争いが決着する)9月までには(MVP争いの行方も)ハッキリすると思うが、今季の大谷は我々が見たこともないようなことを成し遂げている」とフェインサンドと同様、エンゼルスのチーム成績が問題にならないほどのインパクトを大谷の活躍から受けているようだ。

 エンゼルス担当のレット・ボリンガー記者は「エンゼルスの順位はあまり気にしていない。過去にはエンゼルスがポストシーズン争いから早々に脱落したにもかかわらず、マイク・トラウトがMVPを受賞した例もある。ゲレーロJr.は素晴らしい打撃成績を残しているが、大谷は投打両面で驚くべき活躍を見せている」と主張する。

 一方、ブルージェイズ担当のキーガン・マシソン記者は「ゲレーロJr.との打者としての差を、大谷は投手しての働きで十分に補うことができる」と大谷を支持する一方で、「今後の成績が重要になる。大谷の活躍がレアケースであることを考えると、(大谷は今の活躍を維持できない可能性があり、)ゲレーロJr.が有利かもしれない。ただし、大谷が今の活躍を維持すれば、大谷を支持しないのは難しいだろう」とも語っている。

 そして、議論は「このまま大谷が活躍を続ければ、大谷に軍配が上がるだろう」という流れに。ただし、ボリンガー記者は「最大の問題は大谷の健康状態、そしてシーズンを通して今の活躍を維持できるかということだ」と大谷がMVPを受賞するためにクリアしなければならないハードルを指摘している。

 さらに、フェインサンド記者は「もしブルージェイズが地区優勝した場合、一部の投票者はチーム成績を重視してゲレーロJr.に投票するかもしれない」と投票者の傾向について指摘。マシソン記者も「ゲレーロJr.がチームをポストシーズン進出に導く活躍を見せれば、それを無視するのは難しい」と語っている。

 最終的には「今日シーズンが終了するなら、MVP投票(の1位)に大谷を選ぶ」という意見で5人が一致。ゲレーロJr.の打撃成績は素晴らしいものの、大谷は投手としての働きを加えることでゲレーロJr.を上回る評価を得た。5人の記者が指摘した通り、大谷が現在の歴史的な活躍をシーズンを通して続けることができれば、2001年のイチローに次いで日本人選手史上2人目となるシーズンMVPが誕生することになりそうだ。

引用元 :mlb.jp photo – MLB Advanced Media

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この記事を書いた人

神戸出身。2001年、地元オリックスのスーパースターであるイチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年に完全オリジナルのMLB選手名鑑を自費出版し、同年からライター業をスタート。現在はウェブや雑誌でMLBの記事を執筆する傍らSPOZONEのMLB中継で解説も務める。

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