球界最高の有望株がメジャー昇格「ヒットを打つために生まれてきた」

 日本時間6月23日、球界ナンバーワン有望株として大きな期待を背負っているワンダー・フランコ(レイズ)がいよいよそのベールを脱ぐ。2001年3月1日生まれのドミニカ共和国出身、現在20歳のフランコは、今季AAA級ダーラムで39試合に出場して打率.315、7本塁打、35打点、5盗塁、OPS.954の好成績をマーク。レイズは日本時間6月23日に本拠地トロピカーナ・フィールドで行われるレッドソックス戦でフランコがメジャー昇格を果たすことをすでに発表している。

 フランコが将来有望な選手として大きな注目を集め始めたのは13歳になったばかりの頃だった。フランコは10歳のときに家族の友人であるオリテル・チキ・ペゲーロという人物を介して元メジャーリーグ球団幹部のルディ・サンティンと出会った。サンティンは初めてフランコのプレーを見たとき、フランコがゴロを2度捕球しただけで「この子は特別だ」と衝撃を受けたという。しかし、この時点ではフランコはまだ若すぎた。2年後、サンティンが経営するスポーツ・アカデミーに入ることになり、13歳になったばかりのフランコは将来有望な選手として地元のレストランで記者会見を開いたのだった。

 サンティンの指導の下、フランコは着実にプレーヤーとしての実力を伸ばしていき、レイズは2014年に同じくサンティンのプログラムに参加していたヘスス・サンチェス(現マーリンズ)の視察に訪れた際、フランコという才能の存在を知った。レイズのスカウトはサンティンからフランコを紹介され、「守備では素早い動きをし、打撃では柔らかいスイングをする。そして、いつもフィールドで楽しそうにプレーしている」という印象を受けたという。元メジャーリーガーのエリック・アイバーとウィリー・アイバーの甥であり、ホゼ・ラミレス(インディアンス)の近所で育ったフランコは、野球IQが非常に高く、15歳にして「将来のスーパースター」であることを確信させるようなプレーを見せていた。

 身体のサイズなどを見て懸念を示すスカウトもいないわけではなかったが、実際にプレーを見ると、打撃センスや守備能力の高さを否定することはできなかった。また、人間性の面でも多くのチームを魅了した。結局、フランコは2017年7月2日に契約金382万5000ドルでレイズと契約。ヤンキース、ブルージェイズ、ブリュワーズなど、レイズ以外の球団もフランコ争奪戦に加わっていたと言われている。

 プロ入り後、マイナーの各階級でプレーして迅速にその階級のレベルに適応し、ルーキー級、A級、A+級、AAA級とプレーした全4階級で3割を超えるハイアベレージを記録。マイナー通算75三振に対して95四球を選ぶなど、打撃アプローチは20歳と思えないほどに成熟している。2019年6月にはプロスペクト・ランキングを「卒業」したフェルナンド・タティスJr.(パドレス)に代わり、「MLBパイプライン」のプロスペクト・ランキングで全体1位に登場。2020年開幕時、そして2021年開幕時もその評価は変わらなかった。マイナーのシーズン中には2週間にわたり100球以上連続で空振りがなかったこともあり、エリック・ニアンダーGMを大いに驚かせた。

「マイナーリーグで多くのことを学んだ」と語るフランコ。数字を見れば順風満帆のマイナー生活だったように思えるが、壁にぶち当たることもあり、「決して諦めないことを学んだ」という。また、今年5月にはフランコよりも先にテイラー・ウォールズがメジャーへ昇格したが、多くのファンや関係者がフランコより先にウォールズが昇格したことに困惑するなか、フランコはチームメイトのメジャー昇格を真っ先に祝福した選手の1人だった。このエピソードからもフランコの人間性の素晴らしさをうかがい知ることができる。

 フランコは「メジャーでプレーする準備はできている」とメジャーの舞台での活躍に自信を見せている。「僕はヒットを打つために生まれてきたのだと思う。それは神様が僕に与えてくれたものなんだ。僕は子供のときからボールをバットにしっかり当てて、強い打球を打つことができた」と語る球界ナンバーワン有望株は、20歳という若さで到達したメジャーの舞台でいったいどんなプレーを見せてくれるだろうか。

引用元 :mlb.jp photo – MLB Advanced Media

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この記事を書いた人

神戸出身。2001年、地元オリックスのスーパースターであるイチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年に完全オリジナルのMLB選手名鑑を自費出版し、同年からライター業をスタート。現在はウェブや雑誌でMLBの記事を執筆する傍らSPOZONEのMLB中継で解説も務める。

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