静かなオフを過ごすドジャース フリードマン編成本部長はぜいたく税リセットを目指す方針を否定

 控えめなオフシーズンを過ごし、ぜいたく税の税率リセットを目指していることが噂されているドジャースだが、「ジ・アスレチック」でドジャースを担当するファビアン・アルダヤ記者によると、アンドリュー・フリードマン編成本部長はペイロールをぜいたく税ライン以内に収めるためのトレードを行うことを否定しているという。「我々は今季優勝するためにできることを全てやっている」とフリードマン。今オフの補強が控えめなのは年俸総額を削減するためではなく、正二塁手として期待されるミゲル・バルガスら若手選手にチャンスを与える狙いがあるようだ。

 Roster Resourceの計算によると、ぜいたく税の対象となるドジャースのペイロールは現在およそ2億3800万ドル。今季のぜいたく税ラインは2億3300万ドルのため、ドジャースは年俸500万ドル以上の選手をトレードで放出できれば、ペイロールをぜいたく税ライン以内の収めることが可能だ。一部では救援右腕ブレイク・トライネン(年俸800万ドル)の放出が噂されているが、トライネンは昨年11月に肩の手術を受けており、今季全休が濃厚。トライネンを放出するトレードを成立させるためには、セット売りで若手有望株を犠牲にしなければならないだろう。

 もう1人、候補として挙げられているのがクリス・テイラーだが、テイラーは4年6000万ドルの契約1年目だった昨季、打率.221、10本塁打、OPS.677と不本意なシーズンを過ごした。価値が下がっているこのタイミングでトレードすれば、大した見返りは得られないだろう。また、ドジャースはトレイス・トンプソンやジェームス・アウトマンがレギュラー候補になるほど外野手の層が薄くなっており、外野のレギュラー格であるテイラーを放出することは考えにくい。

 よって、ドジャースがトレードでペイロール削減を実現させるのは現実的ではなく、今季もぜいたく税ラインを超える可能性が極めて高い。トレイ・ターナー、コディ・ベリンジャー、ジャスティン・ターナー、タイラー・アンダーソン、アンドリュー・ヒーニーら主力が流出しながらも補強が控えめだったのは、若手選手にチャンスを与えるためなのだろう。すでにメジャーに到達しているバルガスやライアン・ペピオのほかにも、マイケル・ブッシュ、アンディ・パヘス、ボビー・ミラー、ギャビン・ストーンなど多くの若手有望株を抱えるドジャース。彼らが期待通りに成長すれば、さらなるペイロール削減が可能となり、1年後に大谷翔平を獲得するための資金にも余裕が生まれるはずだ。

引用元 :mlb.jp photo – MLB Advanced Media

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この記事を書いた人

神戸出身。2001年、地元オリックスのスーパースターであるイチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年に完全オリジナルのMLB選手名鑑を自費出版したことがきっかけでMLBライターに。2021年にはSPOZONE(現SPOTVNOW)で解説者デビュー。Twitter:@y_MuLB

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